なぜ私だけ

このブログを読むのに適切な音楽は小林大悟の棘だ。これをリピート再生しなさい。これを聴きながらこれを読みなさい下民どもよ。

以前にこちらのブログ で書いたことだが、姪はなかなか人生ハードモードだと思う。姪がもっと小さいころから、兄とよく姪のことを憂いながら会議をした。結局悪い想像ばかり浮かぶので「姪はハードモードだがきっと抜けられるときがくる。だって私たちもその過渡期なのだから」というよくわけのわからない結論に帰着し、まるで自分たちに言い聞かせるように「そうだそうだ。ハードモードは抜けられるんだ」という謎の自慰行為をして前を向くという謎会議を繰り返した。

「なぜ私だけ」と思うような絶望を味わったことがある人は少なくないだろう。この世に絶望はある。絶望の連続もある。そして絶望の下の下もあるし、下の下の下もある。よく聞くくだらねぇハウトゥー本的な”迷言”で「今が底辺だからあとは上がるだけ」というのがあるが、あれは嘘だ。

気をつけろ、思春期の下民どもよ。底辺だと信じたらもっと底が掘れてビックリということが、あるぞ。さすがにここが底辺だろうと朦朧とする脳みそでブワブワと安心していたら、さらに底があったみたいなことが、あるぞ。

世の中に存在する”迷言系”のハウトゥー本のほとんどは、幸せな奴らが書いている。お前ら、明日食べるものがないとか、謎の駅からドナドナされて工場でひたすらコンタクトレンズ液を詰めるんだけど時計すらない殺風景な工場だからあと何時間地獄の作業をすればいいかわからないとか、街中に歩いている犬の毛並が良すぎて自分より絶対いいもん食ってると思って号泣したこととか、通りすがった全員が敵だと思うレベルには途方に暮れて社会悪へ憎悪を抱いたことや、つまり、地獄を見たことがないだろ?と思う。

気をつけろ。気を付けるんだ。世の中、不幸せの総量や下限は同一ではない。

幸不幸は思い込みだから、マインドフルネスでなんとかできるぞ系のやつらは、地獄の底の底の底の底を見たことがない甘ちゃんやぞ。思い込んでなんとかなるならそうしたい、もしくは、肉体からアクセスして浮上できるならそうしたい、けどどうにもならないというレベルの不幸はどうしてもこの世に存在する。気を付けるんや。

我が地獄の同志:兄がよく言うことは

地獄は人を強くする。けれどこの世には、味わうことなく済むなら絶対経験しないほうがいい地獄が存在する。そしておおむね地獄は、経験しないに越したことはない。

ということだ。私も完全同意だ。

地獄なんて摩耗するだけなんだと酸っぱい大人になってからやっと理解する。渦中もしくは若かりし頃は「この地獄があるから這い上がれる!」…などという気持ちでいるのだけれど、ややや、もしかしたらそう思わないとやってけなかったのかもしれないけれど、中年になってくると、もしくは真の地獄をいくつも経験すると、何周かすると前述のような渋い気持ちに着地するものだ。

「なぜ私が」と思う出来事に対峙している人に伝えたいことは、それでも入ったからには出口はあるということだ。それはこの岩盤を上るのかもしれないし、スプーンで横に掘っていくのかもしれないし、意外と落ちてみることかもしれない(いずれにしても地獄)けれど、とにかく「出られる」ということだ。これを見失うと、人は簡単に発狂もしくは無になる。

だから姪よ、あなたは必ず出られるのだということを添えておきたい。いつかこれを信じられると信じて。

認知の歪み

心中お察ししますとある過去からの手紙、破くのも手間だ思案にくれる

小林大吾が言っている。まじでそう。

さて、人は自分と向き合いきれない。戦うべきは自分というが、あれは本当。結局、環境と戦っているように見えて、出口がない自分と戦っていることがほとんどだ。そして大抵の場合、自分を擁護しようとすると認知が歪む。(もちろんその逆もある。中立にジャッジしようとしすぎて認知が歪み自分を責め続ける、など) 

姉は不倫していた。物証がないのでなんともいえないが、どう考えても不倫していた。まず、前旦那から新旦那に乗り換える際、どう考えても時間軸的に時期が被っていた。そして急に変に色気づいていた。女は女の色気に敏感だ。

例えば大昔、10代の頃、私が快楽としての男とのセックスを覚えたとき、ヤった翌日に母は「なんか最近のエリザベーヌ…雰囲気ちゃうよね」という絶妙な形容をした。あまりに動物的にセックスを繰り返していた私は、心臓を掴まれるほど緊張した。まぁとにかく、女は女の色気に敏感なのだ。

本件につきましては、兄も気づいていた模様なので、もはや男が女がというより、姉は不倫してただろう。不倫の果て、不倫相手と再婚していまに至る。

熱情がないと子孫は残せないというのが中年独女の結論なので、手順を踏まないのは大賛成だ。しかし、婚姻契約をすでに結んでいる人間が、不倫を挟んで契約変更するのには大反対だ。

子供が~とか、モラルが~とか、まぁそれっぽいことは言えるし思ってもいるのだけれど一般的な意見はここでは割愛したとして、私が不倫がNGだと思う理由は「いずれ禊をせねばならなくなるから」だ。

人生でなにがきついって、自分が自分に対して「ヤっちまったな」と思うほどの悪事を働いて、すぐか後々かわからないけれど、その「禊」をやらねばならないときだ。中年になって溜まった新たな知見は「悪いことをすると悪いことが戻ってくるよ」だ。

意味不明にやってくる地獄のメカニズムはいまだに全く解明できないが、自分由来でやってくる地獄についてのメカニズムは、意外とシンプルだという確信めいたものが中年になってから生まれた。

禊のターン

「相手が嫌だと思うことはしちゃいけないよ」という幼稚園ないし保育園の教育は、なんと高等教育だったのかと年々驚く。もっとおどろおどろしく「あのな、相手が嫌なことをやるとな、とんでもなく深い出口のない地獄をいずれ自分が体験するからな、絶対やめといたほうがいいで」と説明したほうがいいのではないかと思ったりする…保育士にならなくてよかった(なお保育士の専門学校に通ってた)

話を戻そう。どうやらこの「禊」は誰でもどうしてもやってくるというのが、自分の人生や様々な他者の人生を見てきてわかってきた。

聖人君主でない限り、大なり小なり後ろめたいことはあるのではないかと思うのだが、私自身も人には言えないあれやこれやはたくさんあって、この数年で一番キツかったのは、自分の行為にも十分な落ち度があった(不倫ではない)ゆえに、人生で初めて代理人を立てて被害を最小限に抑えたみたいな出来事だ。

この話は兄にしか話していないが、ある時耐えきれず電話先で「私が全部悪かってん…」と兄に一切を話したら、兄は「でもそれはエリザベーヌをそういう気持ちにさせたことと、それをさせた仕組みも十分悪いやろ」と一刀両断して半ば擁護してくれたのだった。

訴訟になるか否かの瀬戸際だったことや、判例を調べまくって疲れきっていたことや、そこに至るまでの悔しさや、自分への嫌悪感や自己否定や言葉にできない気持ちがグチャグチャになって夜も眠れない日が続いていたため、なにかが本当に切れたように私は電話口でグチャグチャになって泣いた。歌舞伎町のど真ん中で。歌舞伎町のATMでおろした弁護士へ支払う多額の頭金を握りしめて。

西武新宿線の高架下でむせび泣きながら見上げたときの歌舞伎町ビル群から見えた狭い狭い空があまりに綺麗で、この綺麗さと悔しさを私は絶対忘れないと思ったりした。

この一連の流れは「行為」としての禊であって、「精神」としての禊はずっとついて回る。いまだに私はそのことを思い出して苦しんだりする。もちろん、それ以外にもたくさんある。なので、言葉にすると薄っぺらいが「厳しいほど愚直に」生きたほうがよっぽど楽なのだ。だから姉のやってきた「不倫」に私は賛成しない。禊は想像以上にきついからだ。

カモってカモられてスピと占いの大罪

姉の初回不倫期は姪が5歳頃で、旧旦那から今旦那に乗り換えるときだったが、その後姪が10歳を超えたあたりからつい先日(14歳)まで、姉はまた別の不倫をしていたものと観測している。理由は色気を中心とした、整合性のなさだ。(そして兄もこれは同意だった)

今旦那と昼の生活だけではなく夜の生活も破綻しているはずで、姉と今旦那は会社経営をしているので、同志として頑張っていくといったような決意表明を姉から聞いていた。姉は4年前くらいから今旦那のことを愚痴らなくなり、色気がハンパなくなり「もめるくらいならどこかで息抜きして家族を大事にできたほうがイイヨネ!」みたいな確信犯的な意味不明理論をキラキラSNSで投稿したりしていた。

あるとき、姪のことがあまりに心配で、私は姉に雑談的に「不倫ってないよね~軽蔑するわ~」とジャブを打ったら「え、なんで…?!」と真顔で聞いてきたことがあった。もうそのリアクションだけで十分「黒」なのだが「ややや、だって誰かの不幸の上に幸福を築こうとする人のモラルは破綻してるやろ」と言うと「でも女性でも中身が”オトコ”な人って、性欲強いと思うし、そういうのって外で発散したほうがいいと思うけどな~」…的なことを平然と姉は笑って話した。なるほど黒か。と確信した。

彼女は続いてこういう。「私、守護神で強い男性が憑いてるらしくて~」……以降は知能が低いと判断して聞いてないので覚えていない。

姉よ。「守護神で強い男性が憑いてる」件なんぞ、私はずっと前から知っているのだよ。

姉が謎の胡散臭いインフルエンサーに洗脳されて、不動産を2つ購入し(概ね詐欺。なお3つ目をサブリース契約し仕上がったばかりで無事に多重債務者になった)、なんなら姉が売る側(カモる側)に挑戦していることを数年前から知っていた。

2chで育ったクソどぶ板リサーチャーなワイの調査力を舐めてもらっちゃ困る。詐欺インフルエンサーの法人登記をはじめ、様々な情報を調べまくった。

すると詐欺インフルエンサーの隠れYoutube動画にたどり着き、そこにモザイク全開の姉が出演し、霊媒師を名乗る奴に守護霊的なのを見られていた。姉であることは声からして間違いなく、思わず地獄の同志:兄に電話して爆笑したりなどした(をい)。

胸糞悪かったのが、霊媒師的な奴が「あなたお父様に問題を抱えてますね…」的なことを冒頭に言って、姉はずいぶんとそのパンチだけで信じ込んだ様子だった。確かに父は問題児だ(をい)。ここではザックリ紹介に留めるが、父は借金依存症の多重債務者だ。奴らはこういう情報を入念に調べ掴んでカモりに挑んできているというのが、めちゃくちゃ胸糞悪かった。

なるほど、お前らは本気なわけだな。私は姉がこの詐欺から目を覚ますのに相当な年数を要すると悟った。

だからまぁつまり、姉にドヤられながら「あんな、私の守護神は~」などと言われるずっと前からそんなこと(どういう種類の守護神が憑いていると言われてカモられたか?)は知っていた。まさかこの「不倫ってダメだよね」という議題の最中に守護神のご紹介をいただくとは思わなかったが。

私は大昔から、占い含めたスピ界隈を心から軽蔑しているのだが、改めて嫌いだと再確認したりなどした。こうして、論点どころか認知すら歪めてしまうのだ。そして本人が信じ込んでいるのが一番タチが悪い。

スピを信じ込ませる奴らは「人間の不安の上」に商売を成立させているということが何より気に食わない。お前は何かしら実態があるもので食っていけねぇのかよ。実直に空き缶でも拾って売れよと思う。(なお、ワイは小3で経験済み)

以前入っていた謎の某課金コミュニティにも、占いをやる奴らが一定数いて、そこに群がる奴らが一定数いて、それらの情報に触れないようにしようと心がけても、うっかり目に入ってしまう度に胸糞悪かった。

もはや占いで金をとってる、とってないは150億歩譲ってまぁいいだろう。しかし、誰かの不安の上に成り立つその根拠なき預言とやらを、信じるしかないほどの不安に陥ったとき、誰がそいつの人生の責任とってやるんだよ?と思ってしまう。

こういう「社会悪」の排除方法は決まっていて「利用しない」ということなのだが、コンプレックスビジネスは永久になくならない。人間から不安が消えることがないからだ。占いなんかに群がる奴らもお前らしっかりしろよ、と思う。誰かに舵を絶対に渡すなよ、舵に指一本触れさすなよ、占い界隈のやつが死ねつったら死ぬのかよ?と。

自分の人生の責任は自分にしか取れない。逆を言えば、自分を信じて積み上げることができれば、誰でも何にだってなれるのだ。前を向けよ、選択肢しかないだろ。

そういう界隈を見ているとそんな気持ちでいっぱいになる。

姪よ、踊れ

以前書いた通り、姪は達観風を装っている。14で達観なんぞできるはずがない。けどあまりにもうまく達観風をしている。中年のワイはどうかといえばこのように落ち着きのないLINEを14歳に送ったりして、推しへの愛を表現するも「わくわくするめ」スタンプ1個で処理されたりする。

いいじゃないか?思ったことは全力で表現していいのだよ。そんな安全地帯になればと思っているのだが、なかなか姪は感情表現をしない。

当然だろう。これらの姉、つまり母の不倫する姿を間近で見てきたというのはあまりにも辛い。辛いとかチープな言葉しか持ってなくてごめんな、という気持ちですらある。なんの気休めにもならないけれど、母は母で残念ながら必ずみそがねばならぬターンがくる。それは間違いないことで。

母がみそがねばならないこと自体を、あなたはその慈愛で包んで闇を晴らそうとするのだろうか。あなたはあなたの幸福を追求していいということをいつか信じてほしいし、私や実の母などのみそいでいる大人を横目に、あぁはならないでおこうという知見を剣にしてほしいなどと言ったら、吐き気がするほどの自慰行為だと感じるだろうか。

まぁもうこの際なんだっていい。あなたを傷つけた全ての事柄は帰着する。だから、たまーに送ってくれるLINEスタンプみたいに、うきうきと踊ってくれよ頼むよ。